2021年度高校入試の注意点

変更点と注意点

 東京都教育委員会の発表によると、今回の都立高校入試では、以下のような変更点があります。

①赤羽北桜高等学校の新設
 赤羽商業が閉鎖され、その跡地に赤羽北桜高校が新設されます。家庭学科と福祉学科が設置され、幼児教育・保育、栄養・健康、調理、介護福祉などを学ぶことができるそうです。

②富士高校と武蔵高校が高校募集停止
 併設型中高一貫教育校(高校からも入学できる)である富士高校と武蔵高校が、中等教育型(中学からの入学のみ)に変更されます。そのため、高校からの募集はなくなります。ちなみに、2022年度入試からは両国高校と大泉高校も同じ中等教育校になるので、この2校の高校募集は今回が最後になります。

③募集学級数の減少
 募集クラス数が減る高校がいくつかあります。近隣では、墨田川、葛飾野、飛鳥、淵江、足立新田、青井、荒川工業、足立工業、芝商業、第三商業、葛飾総合がそれぞれ1クラス少ない募集です。応募者数が前回と同じぐらいあれば、倍率は上がることになります。

④推薦試験
 東京都教育委員会の発表では、「推薦に基づく選抜については、『3つの密』になる状況を避けるため、原則として1日で実施する」「文化・スポーツ等特別推薦の基準に、大会の実績や、資格・検定試験等の成績に関わる内容を含めず、『実績等を証明する書類等の写し』の提出も求めない」とのことで、これによる最大の影響は、「集団討論を実施しない」ということでしょう。集団討論を苦手とする受験生にとっては喜ばしいかもしれませんが、その分作文・小論文の重要性が高まるので、一概に楽になったと言えるのかどうかは分かりません。時事問題や身のまわりの出来事などに関して常にアンテナを張り、積極的に知識を取り入れていく姿勢が求められると思います。

⑤学力試験の出題範囲
 以前にもお伝えした通り、下記の内容が学力試験の出題範囲から除かれます。

 <国語>中学3年生の教科書で学習する漢字
 <数学>「三平方の定理」「標本調査」
 <英語>「関係代名詞」のうち、主格のthat、which、who及び目的格のthat、whichの制限的用法
 <社会>「国民の生活と政府の役割」「私たちと国際社会の諸課題」
 <理科>「力学的エネルギー」「科学技術と人間」「太陽系と恒星」など

 高校入試では出ないものの中学校の中間・期末考査では出題されること、限られた内容で作られることで却って問題が難しくなる可能性があること、などを考えると、決して手を抜くわけにはいきません。
 また、白鴎高校や両国高校は、これまでのように自校作成問題ではなく、共通問題を使用するとのことで、もしこれにより志願者が増えると、もともと募集人数が少ないので、倍率が一気に上がる可能性があります。

今後の動向にも注意

 その他、出願を原則として郵送で提出する方法に変更(立川高校ではWeb出願も試行)したり、合格者の発表を高校内の掲示だけでなくウェブサイトへの掲載も実施するなど、いくつか細かい変更点があります。
 また、これまでもインフルエンザ等に対する追検査を実施していましたが、コロナなどでそれも受験できない場合の新たな追検査を検討するとのことです。(詳細は未定) 一部の私立高校では、入試相談に用いる内申点について、対象をこれまでの「中3の2学期」「中3の1学期」に加えて「中2の3学期」まで広げるというケースもあるようです。このように、今回の入試では特別な対応を取る学校が多数ある上、今後さらなる変更などもありえますので、特に受験生は注意して情報収集をしましょう。